ちいさい歩み   トマトおばさん宅の就学活動

              〜 二人の障害児この4年間の歩み 〜
 

はじめに
 我家には、二人の息子がいる。そして、二人とも障害児である。
 進行性筋ジストロフィー、進行の速度は急速とされる、duchenne型である。まだ、
治療法はみつかっていない。次男はまた、自閉症児でもある。これまでの、就学活動
関係を、下記に、書き出してみようと思う。以下、一家族の、小さな足跡である。
 

1996年2月 教育センターにて長男(‘T’君)の就学相談。養護・障害児学級等の情報収集

     4月 次男(‘K’君)の療育センター母子通園に伴い、長男☆保育園に転園。

     5月 次男の単独通園開始

     7月 □養護学校見学

     9月 教育センターにて発達検査。同時期、就園・就学体験発表会多数参加。

    10月 学区の小学校に連絡し父母子で面接。教育センター整形科受診。

    11月 学区の小学校にて就学時検診。

    12月 次男保育園面接。
 

1997年1月 長男の就学通知書、区役所区政部市民課より届く。

     2月 次男保育園体験入園。長男小学校就学説明会。

     4月 長男◯小学校普通クラス入学。次男☆保育園入園。
 

1998年4月 長男進級時、人数減の為、3クラスから2クラスに。<28名から40名編成に>

     6月 療育センターにて就学説明会。■・◆養護学校見学。次男、小学校障害児クラス母子で見学。

     7月 □養護学校見学。教育センターにて父母子で就学相談。

    10月 小学校に父母子で次男の就学相談。長男、病の進行状態説明と進級相談。

    11月 就学時検診。
         小学校スローブ・トイレ設置見積もり<3度ほど足運び>。それに伴い、★小学校見学。
                   (スローブ・階段昇降機など)
 

1999年1月 就学通知書、区役所区政部市民課より届く。

     2月 小学校就学説明会。スローブ等設置工事始まる。
 
     4月 次男入学式。障害児クラス(生徒4名担任1名)へ。
         長男3学年へ進級。母子登校始まる。

     5月 母子授業をやめ、15分の放課と、給食終わり頃、様子を見に学校へ。運動会練習始まる。
         二人とも、それぞれの障害に合わせ、工夫をしていただき、無事に運動会がおわる。
 

◎就学先が決まるまで

 私と主人とは、意見が食い違ってました。多動で有り、肢体障害予備軍の次男。自力で動けな
いお友達の中では、伸び伸び出来ない。教育センター・学区の校長との話し合いの中で、学区の
小学校へ兄と共に通うことを進められ、主人も納得してくれ、障害児学級に決めました。
 

◎入学後の様子

 兄の方は、担任・クラスメイトに恵まれ、楽しそうに学校へ通っています。好きな時間は縄跳びという
時もあるくらいで、周りの友達が長男のことを、ありのままの姿でうけいれてくれてると、感じています。

 弟の方は、今年新しく赴任されて来られた先生が、担任ということになりました。まず、学校にも、在
校生にも、慣れておられないことから、4月は母子学習という形をとりました。ずーと付き添うことで、
子供との関わり方も、見てもらえるし、こちらも、どのように生徒と関わって下さるのか、見学することが
できました。

 たまたま、今年は運動会が、5月にあったので、他の1年生にも、顔を覚えてもらえました。私も
時々、練習に参加して、どういう子がどういうふうに、関わってくるのか、観察させてもらえたし、自分
のことを説明出来ない息子のフォローが、出来たと思います。

 給食が始まってからは、朝、担任が来られるまで、15分の放課、給食終わりかけから掃除・放課の
時間に、学校へ出向くようにしています。

 6月も終わり、もうすぐ夏休みを迎えることになりますが、担任も子供達も、やっと慣れてきたかなと
思います。
 

◎これまでを振り返って

 就園・就学活動していくと、さまざまな思いとぶつかり合うことになります。岐阜大学の○○先生も
おっしゃってましたが、ベストという選択はむずかしいと思います。より、ベターの方向で、取り組んで
いって欲しいです。子供のことを、より冷静に観察して下さい。親が我が子は自立していると思ってい
ても、他から見れば、中途半端に感じることがよくあるそうです。例えば、着替えについて。学校集団
において、裏返しになったら着替えられないのでは、着替えられますとは、言えないことになります。

 出来れば、途中で変ることのないような環境を選択したいものです。

 普通学級だと、お友達が出来、刺激もたくさん受けます。しかし、やってもらう知恵がつき過ぎて、
自分からはやらない・自分で考えることの出来ない子供になってしまったり、人間嫌いの子供になっ
てしまう例も多くあります。

 障害児学級だと、その子のペースに合わせて、学習を進めてもらえます。しかし、同級生との交流
が、頻繁でなかったり、かかわりあう人数が少なかったりします。

 地域の中で、子供を育て、知ってもらい、助けてもらいたい。最近こういう考え方をする人達が、増
えているように思います。実現させるには、親によせられる課題や負担は、かなり多いです。
 

◎工夫して来たこと・これからのこと

 学年始めには、担任と早めに話し合いの場を作る。最初のクラス懇談会には、子供の障害につい
て説明をする。車椅子使用に関しては、お子さんに生きた社会勉強をさせていると、ご理解していた
だくとともに、ご協力下さいと、お願いしました。

 また、卒園式の日の最終懇談会の場で、「どうか、お子さんに、障害をもって生まれた子は可哀想
なのだと、教えないで下さい。この子達の視線で見れば、この子達なりの世界がありますし、そこに
は、障害などありません。もし、あるとすれば、それは、健常者が作りだしているのかも知れません。」
と、障害児の母の願いとして、発言したりしました。

 今後、息子達の病気が、どう進行していくのか、私には予想がつきません。今は、学区の小学校
へ、元気に通ってはいます。が、高学年になって、体力的精神的に、しんどくなったら、彼らにふさわ
しい環境にかえようと思っています。そのとき、だめになったから、出来なくなったから、学校を変える
などと、子供を否定するような言葉を使わず、今のあなたに、よりふさわしい環境を、与えたいと、言
いたいと思っています。子供にもプライドがありますから、配慮は必要です。

 最後に、「自由に生きてく方法なんて、百通りだってあるさ」という歌詞がありますが、たくさんの情報
を集め、よりよい選択をしてくだい。義務教育なんて、たかだか9年間ですよね。されど、9年間。子供
達のこれからの、長い人生を、有意義なものにしてあげたい。皆さん、いろいろあるでしょうが、打た
れ強く、辛抱強く、取り組んでいって下さい。

 長い時間、御拝聴、ありがとうございました。

                              以上思い出すままに

      1999年6月作成。  トマトおばさん(文責)

就学体験発表会原稿より。
 
 

  ご紹介のコメント  
 

障害をお持ちの2人のお子さんの親として、就学、進級についてこころを砕いて考えられてきた様子が伝わってきます。

これから就学や進級のことを考える方にトマトさんの体験談を知ってもらいたいとの私の希望で

メールで戴いた就学体験発表会の原稿をHPに載せる事に同意していただきました。
 

私も障害を持った娘を他の近所の皆と一緒に学区内の学校に普通に行かせたいと考えています。

障害者がいるのが本来当たり前の社会なのに、どうして障害者だけ分けられなければならないのか。

就学時検診という名前のもとで『選別』が当たり前に行われています。

この考えに反発はあるものの検診を拒否したりはせずに普通に受けようと思っています。

そしてあるがままの娘の姿を伝え入学のお願いをしようと思っています。

統合〜ノーマライゼーションの流れはまだ始まったばかり。

非協力的な学校もまだ多いでしょう。

それでも・・・入学を希望する親子を拒まない学校となってくれるよう期待しています。
 

トマトおばさんが就学前の手続きについて詳しく教えて下さっていますので(名古屋市の場合なのですが)

続いてどうぞ。 就学の手引きへ