光とともに  自閉症児を抱えて

     戸部けいこさん  秋田書店  1、2巻発売中  
               (新刊情報で2巻の表紙が見れます、裏表紙もいい)
 

とても大好きなコミックスです。『ForMrs.』で連載中。
3月末から小学校高学年編の連載が開始されます。

自閉症の状態を説明するのに一度では到底説明しきれない事が
この本を読んでもらえばすんなりと大体の像を理解してもらえる事が
親として本当に助かりました。
(誤解されていると思う方に読んでもらいとても好評でした。
今まで知らなかった事がとても多いと、そう言われていました)

光君に部分的にかなり似ていると思う娘とだぶり泣き、笑い…。
経験した事も多く感情移入しながら読んでいました。
小さい頃には色んな問題が日常的に多く有りましたので。

マンガでは自閉症というイメージからは想像が付かない感覚の過敏さを
抱えている事や聴覚や視覚の特徴、本人の大変さ、親の苦労、喜びなど
総ざらえです。外から見えにくい障害の説明が難しい部分を浮き彫りに
されている所が自閉症を知らない人にでも本当に分かりやすいと思います。

苦難有り、涙ありの日常が描かれていますが
親がそれでもひたむきで読んでいて励まされます。
(1巻は障害を理解するまでが描かれているので涙、涙なのですが)

子供とどう付き合っていくか。
親も入園、入学などを経ながら色んな場面にぶつかりながら
一緒に生きていく術を学んでいく・・・時には親の思いを周りに伝えて
いきながら。その辺りの事も書かれています。

2巻の最後、光君が小学校の低学年の終りには東家(主人公の家庭)
は笑いの絶えない家庭になっています。
周りに理解者が居て、子供の特性を理解しながら付き合っていくことで
よりよい状態に近づくのだと思います。

また今日も更なる少しの進歩の為に頑張ろうと思えるコミックスです。

2巻にはVOCAやQHWのような支援グッズも時々盛り込まれています。
VOCAは音声補助装置、QHWは時間の流れを分かりやすくするもの。
光君の特徴を書いたサポートブックも出てきます。
サポートブックは自閉症ノブの世界やTINKERBELLで見る事が出来ます。
どこかに預ける時などに重宝しそうです。
2巻には迷子対策やいたずら防止、脱出防止などのアイディアもおまけとして
描かれています。

1〜2巻を通して療育的な要素より支援的な要素の方が多いかなと思います。
理解してもらいたい人に見せるのにはかなりいいように思います。
この本を読んでもらって各自のお子さんの支援を考える、そんな風に
なってくれればいいなあ・・・と思います。
 
 
 

2巻で印象に残ったところ…

世の中って健康な人のためだけにあるのかな?
もしパパに何かあったらどうやって光を育てたらいいんだろう
(障害児の学童保育をしていない地域の問題、入園に関しても受け入れが
されにくかった事が書かれています)
 

”言って聞かせる”より”見てわからせる”ほうが伝わりやすい
これまで育ててきた実感
(光君の母親はよく絵と文字で説明していました。実物を提示もしたり
どんな風かはコミックスを見て下さいね)
 

否定的な言い方を肯定的に・・・
(そうそう・・・ダメは言いやすい言葉ですが、ダメと言われるとパニックになってしまう
お子さんも多いのでは?「ではどうすればいいか」を考える事は幼い本人には難しい事です)
 

「こっそりオモチャ持っていこ 保育園の入園式では光の
喜ぶ出し物があったけど さすがに小学校はないものね」
(気持ちとてもよく分かる(笑))
 

面白いよね いたちごっこみたいな私の毎日
過ぎ去ったことはみーんな笑い話になればいい
(ほんと・・・・)
 

青木先生はドアや窓を開け放しているので
光の泣き声が学校中に響き渡っている
隣は校長室・・・来客がまずびっくりする
「な、何事ですか?」
「ほほ 元気な自閉症児が新しい環境にとまどっているんですよ
お気になさらないで では次の懸案に移りましょう(にっこり)」
(素晴らしきかなこの校長。特殊級が校長室の隣、自然な共生の姿勢に共感)
 

「てっ」
(萌ちゃんに「して」とお願いする光くん)
 

「ったく扱いにくいったら!」
(医師、看護婦はこんな事を言ってはいけません)
 

「怒ったりせかせたりしないでほしい・・・・・
光にしたら感覚も過敏だし何をされるか分からなくて不安なのよ」
(そういう事なんです)
 

そして”耳”事件以来光が白衣を怖がると知ると先生自ら脱いでくれるのだ
(理解のある先生)
 

「私たちだけで連れていけるようになるわ きっとね」
(登校場面で)
 

「光にとっては場面場面で繋がりがなくて何かあったからって
それで全部が壊れることはないんじゃないですか?」
(繋がらない症候群・・・)
 

絵里にもし障害があったらどうかしら?
あんなふうに道端で大泣きされて毅然としていられる?
(障害児の親も少しづつ鍛えられていくのです・・・)
 

田中君の後姿ダンスビデオ
(すばらしい)
 

「一つ一つ伝えていくしかないよね 親としては・・・・・」
(これしか無いんだなぁ)
 

「人に要求や拒否が出せないってつらいですよね
光もこんな気持ちなのかなァ」
 
 

おひさまハウスのおひさまサポート
(こういうの地域に有りますか?名称は栃木の「おひさまくらぶ」から?)
 

「よく自閉症の人には言葉がわからない外国人に接するようにって
言うでしょ?本当にそうなんだなあって・・・」
(てにをは省いて単語はっきりが分かりやすい。長い文章は理解が難しい、繋がらない)
 

ジェニーの功労
(お菓子で連れてくるのはさすが)
 

あらかわいい ギーバタン 色白さんね ボコボコボコボコ
ザワ 小林さーん 小林千鶴さーん ボコボコボコ ザワ
幸子の赤ちゃんの頃にそっくりだよ ボコボコ パシャ
ゴホゴホいくらですか? パサ 光見て 赤ちゃんよ
(聴覚の状態の説明、マンガだととても分かりやすいです)
 

思い出の乳母車 こだわってこだわって
はみ出るようになっても乗ってた光
今は光が押している 小さな生まれたばかりの妹を乗せて
育ってくれたね
(親のこういう意識が大事なんだと思う)
 

私は光に「いやだ」と「ちょうだい」は表現していいんだよって
教えてあげたい
 

寄るとさわるとケンカばかりしてた二人
いつか仲良く遊べるかもしれない
そんな希望が持てる午後でした
 

めんどくさいことばかりで 正直逃げ出したい気持ちのほうが多かった
でも親だから・・・
自分の産んだ子だからそんなことできずにひたすら育ててきた
どれだけむなしい日々を過ごしただろう
与えても与えても何も返ってこず
でもそれだけじゃなかった その時は何も返ってこないように思えたけど
光に分かりやすく関わっていくうちに見えない何かが少しづつ少しづつ
光の中にできていった。

これからも大変なことはいっぱいあるだろう
それでも光と花音・・・それぞれの幸福を 私たちは願わずにいられない
 
 

興味を持たれた方はぜひコミックスを読まれてみて下さいね。
2巻には「自閉症ノブの世界」のREIKOさんのあとがきも有ります。
帯の解説は横浜発達クリニックの内山先生です。
(1巻にはダダ母さんのあとがきが有ります。1巻もおすすめです)
戸部さんのやさしいイラストもいいです。
 
 
 

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