「今後の特別支援教育の在り方について(中間まとめ)」に対する意見

    1.氏名  
    2.主婦(自閉症児の親です)
    3.住所
    4.電話番号 
    5.意見
 

今後の特別支援教育の在り方について意見をさせて戴きます。
高機能自閉症の診断を受けており地域の普通学級に通う子供の親です。
LDやADHD、高機能自閉症についての教育について最近目が向けられて
きた事を大変喜んでおります。まとめに対する意見を出させて戴ければ
幸いです。宜しくお願い致します。
 

『ADHD、高機能自閉症等については、定義や判断基準が明確になって
いないこと等から学校における適切な対応が行われてこなかった。』

という所ですが判断基準や診断名も大事ですが、目の前の何らかの
困難を持った子供に対する指導や教育が必要だという意識が教育現場
に必要なのではないかと思います。
というのはこの障害は連続している障害であり、重複している場合も多く
見る人によって診断が異なる事が多いからです。

生後まもなく分かる障害とは違い、2〜4歳頃にならないと障害の特徴が
出てきにくい事や、親が個性だと思い込もうとしていて障害と認めていない
場合も多数有ります。
障害の診断を出来る病院も残念ながらとても限られています。

そして医療機関では診断を受けていながら、学校に対しては不利になって
しまうのではという思いから障害の事を黙ってしまう方もおられます。
実際に援助が戴けず、障害と言った事で誤解を生む可能性も否定出来ない
(障害だと言えば即他の学校に行って下さいと言われる方もいます)
状態では障害を自覚されている方でも言い出しにくいのではないでしょうか。

≪全ての学校に対して『LD、ADHD、高機能自閉症は普通級で受け入れを
する』旨の通達が必要ではないかと思っております。それぞれの学校で
取り組みが必要ですし、なされて欲しいです≫
 

2年前に特別支援教育という言葉が文部科学省から発表された時には
LD、ADHD、高機能自閉症に対して教育的な支援がされると大変喜びました。

LD周辺児童に対する調査校は私の住む県では2校で実施されています。
私の娘の通う学校は調査校ではなく「少し配慮が必要な子供」という認識は
学校側も持って戴いているようですが具体的な配慮は戴けておりません。

こちらから高機能自閉症の冊子等を読んで戴けるようにお願いをしています。
それでも具体的にはどう接していけば良いのかと担任はいつも悩まれて
いるようです。担任に対して具体的なアドバイスが出来る方が居て欲しいと
切望しております。

≪本を1冊お渡しするのにも親は大変気を遣います。学校にLD、ADHD
高機能自閉症の基礎的な事と指導に関する冊子を必ず置いて戴ける
ようにご検討をお願い致します。それから学校内に発達障害児に対する
理解者が必要です。≫
 

子供に対する指導ですが
LD周辺の子供達は因果関係や推測する事をとても苦手としており
それゆえの問題が集団での場で出てきます。その解決となる
≪ソーシャルスキルのトレーニングなどもぜひ行って戴きたいです≫

自閉症の場合視覚認知が優位な場合が多く(聴覚優位な方も少数です
がいらっしゃいます)『目で見て分かる』ように色んな工夫をします。
これはLDやADHDのお子さんにも有効です。

こういった事を教育現場でも理解して戴き配慮をして戴けるようでしたら
とても有り難く思います。
後困難としては時間や空間の認知が悪い事、対話面、周りの状況の
把握が難しく、ソーシャルスキル面等本当に様々な問題を抱えています。
身体的にも発達の遅れが有り運動障害の問題を抱えている子供も多いです。

LDや周辺児童の事をご存知の方でしたらこの辺りの事を含めての
≪個別の指導計画≫を作成する事が出来るのではないかと期待しております。
(先日放送されたNHK教育の「にんげんゆうゆう」でもこの必要性が放送されていました)

普通学級の教師が障害のことについてほとんど知識が無い状態では
具体的な支援は不可能ではないかと思っております。
支援体制は発達障害教育に携わっている方との連携が必ず必要になり
学校内でも発達障害の事をご存知で本人に対して指導が出来る教師が
必要になってくると思っております。
 

ご提案させて戴きたいのですが、対象児童が居る学校にはLDやADHDや
高機能自閉症などの発達障害を持つ子供の特性を理解しておられる教師を
それだと思われる児童が居る学校に配置して戴きたいです。
(理解を持っておられる方がまず第一に必要だと思っております)

その方は発達障害児への援助と教育、教師を始め周囲に対する障害への
理解を求める事をして戴きたいです。

そして必要に応じてクラスに入り本人の弱い所を補助や援助をするといった
具体的な配慮をぜひとも戴きたいと思っております。
例えば週に1時間のソーシャルスキルトレーニング、週に数時間のクラス
への入り込み援助(診断の有無を問わず気になる子供全体を援助する
方向で考えて戴きたいです)発達の専門家による年に何度かの訪問指導
などもご検討していただけたら幸いです。
それと個別教育指導案も可能でしたらぜひ実施して戴きたいです。

市町村単位で教師向けのLD周辺児童に対する教育の研修会なども
積極的に行って戴きたいです。
 

こういう子供達は周りからの適切な援助が有れば発達する子供達です。
視点が一般の人とは違う事から才能的な物を持っているお子さんも
おられます。(脳の仕組みが違う為です)

自閉症者で社長をされていたり、教鞭を取っていたりという例も
中にはあるようです。とても極端な例のようですが本人の得意な
面を見出しそれを生かす事が出来ればその可能性をも秘めている子供達です。
アメリカではADHDや高機能自閉症の子供を集めて才能開発の為の教育を
実施しているそうです。

『具体的には、小・中学校に校内委員会を設置し学校における実態把握を行うと
ともに、教育委員会に置かれる専門家チームの意見を踏まえてLDの判断や
適切な教育的対応を決定するほか、専門家による巡回指導の有効性の検証を
行ってきている。
しかしながら、ADHD、高機能自閉症等については、定義や判断基準が明確に
なっていないこと等から学校における適切な対応が行われてこなかった。』

この部分ですが、国際基準であるDSM-IVなどは検討されなかったのでしょうか。
高機能自閉症の診断基準は自閉症の診断基準に準じます。
自閉症の基準を満たしていながら知的に障害が目立たない場合が高機能自閉症です。
IQ70以上の自閉症には現在療育手帳が戴けず(神奈川県を除きます)
支援も無い現状なのでその辺りが名称と関係しているかもしれません。

(発達障害は脳や脳神経の障害を起因とする継続する障害です。
アメリカでは血液検査で発達障害を起こす可能性のある乳児を発見し
そこからフォローがされているそうです)
 

それからこれらの障害を≪新しい障害≫であるとホームページ内で
書かれていますがけして新しい障害ではありません。

日本でも高機能自閉症の女性が書かれた自伝なども出版されています。
適切なフォローをほとんど受けられない事が多く、残念な事ですが
親や本人ばかりに負担が掛かっているのが現状ではないでしょうか。

今まで存在が明らかになっていなかっただけで、診断されずに放置されて
きた方達の中でごく一部の方ですが犯罪を起こしている例もある事は
ご存知の所ではないかと思います。

杉山登志郎先生という高機能自閉症やLDなどの発達障害に対して
第一人者の方がいらっしゃいますが、日本でアスペルガー症候群の人
の犯罪が最近目立っているのはいかに今まで放置されてきた障害だと
いう事を物語っていると言われています。(障害を知らず、未フォローの
場合に起きています)

これから親の方が障害の事を学校に堂々と伝えて素晴らしいご支援が
いただけますようにと切に願っております。
具体的な対策をぜひともお願いします。
 

それから情緒障害学級というクラスの名称についても少しお願いがあります。
自閉症は一見情緒の障害に見えますが情報処理が上手く出来ない結果
情緒の不安定が起きることが有る障害です。
情緒の障害では無い事をどうぞご理解をお願いします。

このような子供達に目を向けて下さった文部科学省に感謝致しております。
発達障害児にどうかご理解とご援助をよろしくお願いします。

長くなりましたがお読み下さいまして有難うございました。
 

2002.11.7に提出しました
原文のままではありません。
若干削除と読みづらい所は若干修正しています
それから多少極論ですが(自覚しています)ご了承下さいね
 
 

2002.12.25公開